※本記事掲載の画像はイメージです。実際と異なることがあります。
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退職した翌朝のことを、今でもよく覚えています。
長年の習慣で6時に目が覚め、コーヒーを淹れながらテーブルの上の郵便物を何気なくめくりました。届いていたのは年金機構からの通知、国保の切り替え案内、そして住民税の納付書。どれも「退職後にやるべきこと」として覚悟していたものばかりです。
でも、ひとつだけ届いていないものがありました。
会社の健康診断の案内――毎年4月になると、総務部から当たり前のように届いていたあの封筒が、もう来ないのです。
年金の手続きは済ませた。健康保険の切り替えも終わった。失業保険の申請も完了した。でも、「自分の体に対する退職手続き」はどうでしょうか?
ヒロです。65歳、元ITエンジニア。退職して3年が経ちました。今はAI副業と投資で生計を立てていますが、退職直後に一番後悔したのは「かかりつけ医を持っていなかったこと」でした。
この記事では、なぜ60代でかかりつけ医が必要なのか、どう探し、どう付き合えばいいのかを、僕自身の経験も交えながらお伝えします。お金の手続きと同じくらい大切な「体の手続き」、一緒に見ていきましょう。
【はじめに読んで下さい】(免責事項)
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1. 記事の内容について
本記事は、筆者(ヒロ)の実体験や調査をベースに構成していますが、読者の皆様に分かりやすく解説するため、一部フィクションや一般的な事例を織り交ぜています。すべての記述が筆者の個人的な事実とは限りません。
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介護保険サービスの利用条件、健康保険の給付、医療費の自己負担額などは、お住まいの自治体、ご本人の要介護度、世帯の所得状況等によって大きく異なります。実際のご判断にあたっては、管轄の市区町村(介護保険窓口)、地域包括支援センター、主治医、ケアマネジャー等の専門家にご自身の状況をご相談ください。
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税金や社会保険料の計算、各種公的手続きは、お住まいの自治体やご家族の状況によって大きく異なります。実際の手続きにあたっては、管轄の市区町村役場、税務署、年金事務所、ハローワーク等の窓口、または税理士・社会保険労務士等の専門家にご相談の上、進めていただけますようお願いいたします。
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1. 退職したら「健康管理の空白」が始まる

定年退職は人生の大きな節目です。しかし多くの方が見落としていることがあります。それは「会社が担ってくれていた健康管理のインフラ」が一夜にして消えるという事実。お金の手続きは期限があるから皆さん必死にやります。でも「体の手続き」には期限がないため、どうしても後回しになりがちです。
1.1 会社の健康診断がなくなるとどうなるか

在職中を思い出してみてください。毎年、総務部や人事部が健康診断の日程を調整し、予約を取り、会場まで案内してくれました。再検査が必要なら産業医が声をかけてくれた方もいるでしょう。
退職した瞬間、この「自動的に健康をチェックしてもらえる仕組み」は消滅します。
国民健康保険に加入すれば、自治体が実施する「特定健康診査(特定健診)」を受けることができます。40歳以上75歳未満が対象で、費用は無料もしくは数百円程度の自治体が大半です。しかし、ここに落とし穴があります。
- 会社の健診と違い、自分で申し込まなければ誰も教えてくれない
- 受診券が届いても「まだ元気だから」と封を開けない方が多い
- 特定健診は基本項目のみ。会社の健診より検査項目が少ない場合がある
厚生労働省の「人口動態統計」によると、日本人の死因第1位は「悪性新生物(がん)」で、60代はがんの罹患率が急上昇する年代です。また、心疾患や脳血管疾患のリスクも50代と比べて大幅に高まります。
つまり「健康だから大丈夫」が最も危険な思い込みになるのが、まさに60代なのです。体に自信がある方ほど、定期的なチェックから離れてしまう。これが「健康管理の空白」の正体です。
1.2 これからは「自分の体に対する退職手続き」が必要

年金、保険、税金、失業給付――退職直後のやることリストは、嫌というほど長いものでした。僕も退職後の1ヶ月は役所と年金事務所を行ったり来たりで、まるでスタンプラリーをしている気分でしたよ。
でもそのリストに、「かかりつけ医を見つける」は入っていたでしょうか。
お金の手続きには期限があります。健康保険の任意継続は退職から20日以内、国保の加入届は14日以内。期限があるから忘れません。一方で「体の手続き」には期限がない。だから後回しになる。そして気づいた時には、半年も1年も健診を受けていない自分がいるわけです。
会社員時代は「会社が管理してくれる健康」の中にいました。退職とは、その管理から卒業して「自分自身で健康を管理するフェーズ」に移行するということ。その移行をスムーズにするための最初の一歩が、「かかりつけ医」を持つことなのです。

健康診断って自分で申し込むの? 今まで全部会社がやってくれてたから、どうしたらいいか分からなくて…



そうなんです。そこが退職後の見落としポイント。でも仕組みさえ分かれば怖くないですよ。まずは「かかりつけ医」という心強い味方を作りましょう。
2. そもそも「かかりつけ医」とは何か


「かかりつけ医を持ちましょう」とテレビや雑誌で言われても、正直なところ「何をしてくれる人なのか」がイマイチ分からない方も多いのではないでしょうか。
日本医師会は、かかりつけ医を次のように定義しています。
「健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介してくれる、身近にいて頼りになる医師」
ポイントは「何でも相談できる」という部分。風邪を引いた時だけ行く病院ではありません。特定の病気を専門的に治す「主治医」とも違います。あなたの体の全体像を把握し、日常的な健康管理から緊急時の専門医への橋渡しまで、長期的に伴走してくれる医師のことです。
ITエンジニアだった僕に言わせれば、かかりつけ医は「体のシステム管理者」。サーバーは問題が起きてから対応するより、日頃から監視しておいた方が圧倒的にコストが安い。体も同じですよね。
2.1 かかりつけ医の4つの役割


かかりつけ医が果たしてくれる役割を、大きく4つに整理してみましょう。
| 役割 | 具体的な内容 |
| ①日常的な健康管理と予防 | 健診結果の解説、生活習慣のアドバイス、予防接種の管理 |
| ②病気の初期対応と専門医への紹介 | 症状の見極め、適切な専門医・大病院への紹介状の発行 |
| ③複数の薬・病気の一元管理 | 多剤処方の調整、飲み合わせの確認、各科の治療情報の統合 |
| ④在宅医療・介護への橋渡し | 要介護認定の意見書作成、ケアマネジャーとの連携、訪問診療への移行 |
つまり、かかりつけ医は「予防」「治療」「管理」「介護連携」のすべてをカバーする存在です。ひとりの医師がこの4つの窓口を担ってくれるのですから、これ以上に心強いパートナーはいません。



かかりつけ医って、要するに”近所の病院”ってことですか?



それだけじゃないんだ。君の体のカルテを何年も蓄積してくれる”健康のパートナー”だよ。近所の病院は「場所」、かかりつけ医は「関係性」。そこが大きな違いだね。
2.2 2025年4月「かかりつけ医機能報告制度」で何が変わるか


実は今、かかりつけ医を取り巻く制度が大きく動いています。
2025年4月、「かかりつけ医機能報告制度」がスタートしました。これは、全国の医療機関が「自分のクリニックにはこういうかかりつけ医機能がある」と都道府県に報告する仕組みです。
- 2025年4月:制度施行
- 2026年1〜3月:医療機関からの報告受付開始
- 2026年4月以降:報告結果の情報公開・地域での協議スタート
出典:厚生労働省「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けた検討」
患者側にとってのメリットは明確です。厚生労働省が運営する「医療情報ネット(ナビイ)」で、各クリニックがどんなかかりつけ医機能を持っているかを比較検索できるようになります。
これまでは「このクリニック、かかりつけ医として頼れるのかな?」と手探りで判断するしかありませんでした。制度が整備されることで、選ぶ側の情報量が格段に増えるわけです。
だからこそ、今のうちに「かかりつけ医探し」を始めておくのが賢い選択。制度が本格稼働する前に信頼できる医師を見つけておけば、先手を打った形になります。
3. 60代がかかりつけ医を持つ7つのメリット


「かかりつけ医が大事なのは分かった。でも具体的にどう助かるの?」という声が聞こえてきそうです。ここでは、60代のリアルな生活場面とセットでメリットを見ていきましょう。抽象論ではなく「こんな時に助かった」で実感していただけるはずです。
3.1 病気の早期発見・早期治療ができる


かかりつけ医の最大の価値は、あなたの「平常値」を知っていることです。
初めて行く病院で血圧を測っても、医師には「この数値がこの人にとって高いのか低いのか」が分かりません。しかしかかりつけ医なら、過去の検査データ・体質・生活習慣を踏まえた上で、「前回より少し上がっていますね。最近、塩分が増えていませんか?」と具体的に指摘できます。
60代は、自覚症状のない疾患が忍び寄る年代です。高血圧、糖尿病、がんの初期段階――どれも「痛い」「つらい」がないまま進行します。定期的にデータを蓄積してくれる医師がいるからこそ、小さな変化を見逃さずに済むのです。
3.2 いざという時に紹介状一本で専門医につながる


胸の痛みが気になる。目がかすむ。膝が曲がりにくい。――60代になると、専門医に診てもらいたい場面が増えてきます。
しかし、紹介状なしで大病院を受診すると、「選定療養費」として5,000円〜7,000円以上が初診時に上乗せされます(2024年時点。200床以上の病院が対象)。これは保険適用外の自己負担です。
出典:厚生労働省「紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担について」
かかりつけ医がいれば、紹介状一本で専門医にスムーズにつながります。しかも紹介状には、あなたのこれまでの検査データや病歴が記載されるため、専門医側も効率的に診療を始められます。待ち時間の短縮にもつながるケースが多いのです。
お金も時間も節約できて、さらに正確な治療を受けられる。これだけでも、かかりつけ医を持つ価値は十分にあるのではないでしょうか。
3.3 薬の飲み合わせ・多剤処方の交通整理をしてもらえる


60代は複数の診療科にかかることが珍しくない年代です。内科で血圧の薬、整形外科で痛み止め、眼科で目薬、皮膚科で塗り薬……気がつくと手元に4つも5つも薬があった、という方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省のデータでは、65歳以上の約4割が5種類以上の薬を処方されていると報告されています。薬が増えれば、飲み合わせによる副作用のリスクも比例して高まります。
かかりつけ医は、あなたが他の診療科で何を処方されているかを把握し、重複や危険な組み合わせがないかを一元的にチェックしてくれます。いわば薬の「交通整理役」。信号のない交差点に、ひとりの警察官が立ってくれるようなイメージです。
3.4 健康診断の結果を「読み解いてくれる」


特定健診を受けた後、結果の用紙を眺めて「HbA1cって何だっけ……」と首をかしげた経験はありませんか? 僕はあります。数値の横にA判定とかC判定とか書いてあっても、「で、結局どうすればいいの?」が分からないのです。
かかりつけ医に結果を持っていけば、数値の意味を噛み砕いて説明してもらえます。しかも毎年のデータと比較して、「去年より悪くなっている」「この傾向が続くとリスクが高い」といった経年変化を読み解いてくれる。これは単発で受診する病院では絶対にできないことです。
健診の結果用紙は「成績表」ではなく「手紙」です。かかりつけ医は、その手紙の翻訳者になってくれます。
3.5 認知症の初期サインに気づいてもらえる


これは少しデリケートな話ですが、とても大切なことです。
認知症の初期症状は、本人が最も気づきにくいもの。家族でさえ「ちょっと物忘れが増えたかな」と見過ごしてしまうことがあります。しかし、定期的に会話をしているかかりつけ医であれば、「前回の診察と比べて受け答えの様子が変わった」「表情が少し違う」といった微妙な変化に気づける可能性が高いのです。
厚生労働省の推計によると、2025年時点で認知症の高齢者は約471万人。65歳以上の約7人に1人が認知症であるとされています。
出典:厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」
早期発見できれば、進行を遅らせる治療や生活の工夫が可能になります。「そんなの自分には関係ない」と思いたい気持ちは分かります。僕だってそうです。でも、万が一のための備えとして、顔を知っている医師がいることの心強さは計り知れません。
3.6 介護が必要になった時のスムーズな連携


「介護なんてまだ先の話でしょ」と思うかもしれません。でも、実際に介護が必要になった時に最初に必要になるのが「主治医意見書」です。これは要介護認定の申請に欠かせない書類で、かかりつけ医に書いてもらうのが一般的です。
あなたの体のことをよく知っている医師が意見書を書けば、正確な介護度が認定されやすくなります。結果として、必要な介護サービスを適切に受けられるようになるわけです。
さらに、かかりつけ医はケアマネジャーや介護事業所との連携窓口にもなってくれます。病気と介護が同時に動き始めた時、その両方を橋渡ししてくれる存在がいるかどうかで、本人も家族も負担がまるで違います。



介護のことまで考えるの? ちょっと先の話よね……



いや、テルさん。60代の今から繋がっておくのが一番スムーズなんです。信頼関係は一朝一夕にはできませんから。「いざという時」に間に合わないと、本人も家族も大変なんですよ。
3.7 家族の安心と負担軽減になる


最後にお伝えしたいのは、かかりつけ医は「あなただけのもの」ではないということ。
離れて暮らすお子さんやお孫さんがいる方も多いでしょう。「お父さん、最近体調どう?」と聞かれた時に、「○○クリニックの先生に定期的に診てもらっているよ」と答えられるだけで、家族の安心感はまるで違います。
僕の息子は東京で働いていますが、「かかりつけ医がいる」と伝えた時に「それ聞いて安心した」とLINEが来ました。たった一言ですが、ずしっと来ましたね。
60代の方に多い「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ち。その気持ちに応える最善の行動が、実はかかりつけ医を持つことなのかもしれません。何かあった時の連絡先として、家族がすぐに相談できる医師がいる。これは何物にも代えがたい安心です。
4. 失敗しない「かかりつけ医」の探し方5ステップ


メリットは分かった。では、具体的にどうやって探せばいいのか? 「近所の病院に行けばいい」と言われても、それだけでは動きにくいですよね。ここでは、初めてかかりつけ医を探す方のために、5つのステップに分けてご紹介します。
4.1 ステップ①:自宅から通える範囲のクリニックをリストアップする


まずは自宅から15分以内で通えるクリニックを目安にしてください。徒歩、自転車、バス、どの手段でもOKです。体調が悪い時にタクシーを呼ばないと行けない距離では、かかりつけ医としての役割を果たせません。「元気な時」だけでなく、「つらい時」にも行ける距離がポイントです。
厚生労働省が運営する「医療情報ネット」(通称ナビイ)を使えば、地域・診療科・対応機能でクリニックを検索できます。「かかりつけ医機能報告制度」で今後さらに情報が充実していく予定です。
参考:医療情報ネット(ナビイ)
お住まいの市区町村の広報誌や公式サイトにも、地域のクリニック一覧が載っていることがあります。地域の医師会ホームページも活用しましょう。ネットでの情報収集に加えて、近所の知り合いからの口コミも貴重な判断材料になります。
この段階では3〜5件ほどリストアップできれば十分です。すべてに行く必要はありません。まずは候補を出すことが大切です。
4.2 ステップ②:まずは健康診断や予防接種で受診してみる


「病気じゃないのに病院に行っていいのかな……」
これ、退職後にかかりつけ医を探す時の最大の心理的ハードルです。僕自身、初めて近所のクリニックのドアを開けた時、受付で「今日はどうされましたか?」と聞かれて一瞬固まりました。「特に悪いところはないんですけど」と言うのが何だか気恥ずかしかったのです。
そこで提案したいのが、健康診断や予防接種を「お試し受診」のきっかけにする方法です。
- 特定健診:国保加入者なら自治体から受診券が届く。対応クリニックで受診
- インフルエンザ予防接種:65歳以上は自治体の助成で自己負担が軽減される場合が多い
- 帯状疱疹ワクチン:50歳以上が対象。一部自治体では助成制度あり
- 肺炎球菌ワクチン:65歳以上の定期接種対象者は公費負担あり
これなら「予防接種を受けに来ました」と堂々と言えますよね。そして受診したついでに、医師との会話の雰囲気、スタッフの対応、待合室の居心地を自然にチェックできます。初回はお見合いのようなもの。まずは会ってみることが大切です。
4.3 ステップ③:5つのチェックポイントで相性を見極める


実際に受診してみたら、次の5つのポイントで「この先生と長く付き合えそうか」を見極めましょう。
| チェックポイント | 具体的に見るべきこと |
| ①話を聞いてくれるか | 3分で終わる「流れ作業」ではなく、こちらの話に耳を傾けてくれるか |
| ②説明が分かりやすいか | 専門用語を噛み砕いて、図や例えを使って説明してくれるか |
| ③質問しやすい雰囲気か | 「こんなこと聞いていいのかな」と萎縮させない空気感があるか |
| ④紹介状を快く書いてくれるか | 「大きな病院で診てもらいたい」と伝えた時に嫌な顔をしないか |
| ⑤往診・在宅医療に対応しているか | 将来、通院が難しくなった場合の対応力があるか |
すべてに当てはまる完璧な医師は少ないかもしれません。大切なのは、①〜③の「相性」が合うかどうか。特に「話を聞いてくれるか」は最重要です。体の不調を正直に話せない医師では、かかりつけ医の意味がありませんから。
4.4 ステップ④:「合わない」と感じたら遠慮なく変える


ここで声を大にして言いたいことがあります。
かかりつけ医は、1回で決める必要はありません。
「先生を裏切るみたいで申し訳ない」「せっかく診てもらったのに変えるのは失礼」――そう感じる方は本当に多いです。でも、医師を選ぶのは患者の権利です。美容院だって何軒か試して「ここがいい」と決めるのではないでしょうか。
2〜3院を試してみて、「この先生なら安心して話せる」と感じた医師に決める。これが一番確実な方法です。ちなみに、他のクリニックに変える時に紹介状は必要ありません。直接新しいクリニックに予約を入れるだけで大丈夫です。
4.5 ステップ⑤:決めたら「健康ノート」を持参して初回面談


「この先生にお願いしよう」と決めたら、改めて初回面談に臨みましょう。持参するものは以下の3つです。
- お薬手帳:現在服用中の薬がすべて分かるもの
- 健康診断の結果:直近1〜2年分があると理想的
- 既往歴メモ:過去の大きな病気・手術・アレルギーの記録
この3つをひとまとめにしたものが、いわば「健康ノート」です。A4のクリアファイルに入れておくだけでも十分。スマホの写真フォルダに入れておくのも手です。
そして医師に伝える言葉はこれだけで大丈夫です。
「今は特に症状はありませんが、定期的に健康管理をお願いしたいと思って来ました」
これを聞いて嫌な顔をする医師はまずいません。むしろ予防意識の高い患者として歓迎されるはずです。



「特に悪いところはないけど来ました」って言うの、恥ずかしくないですか?



全然恥ずかしくないよ。医師にとっては「予防で来てくれる患者」こそ大歓迎なんだ。病気になってからより、健康なうちに来てくれる方がずっと嬉しいはず。自分の体に投資するって、そういうことだよ。
5. かかりつけ医と上手に付き合う3つのコツ


かかりつけ医を見つけたら、次に大切なのは「上手な付き合い方」です。実はここが意外と語られていないポイント。見つけて終わりではなく、良い関係を続けてこそ、かかりつけ医の本領が発揮されます。
5.1 症状メモを事前に書いて持参する


診察室の椅子に座った途端、「あれ、何を相談したかったんだっけ」と頭が真っ白になった経験はありませんか? 白衣の先生を前にすると緊張しますし、限られた時間の中で伝えたいことが飛んでしまうのはよくある話です。
対策はシンプル。事前にメモを書いて持参することです。
- いつから:「先週の火曜日あたりから」など具体的に
- どんな症状が:「右ひざが曲げると痛い」「夜中に息苦しい」など
- どのくらいの頻度で:「毎日」「週に2〜3回」「朝だけ」など
- 気になっていること:「テレビで○○の病気の特集を見て心配になった」もOK
紙でもスマホのメモアプリでも構いません。大切なのは「言い忘れ」を防ぐこと。医師にとっても、メモを持参してくれる患者は非常にありがたい存在だそうです。情報が正確なほど、適切な判断がしやすくなりますから。
5.2 「気になること」は遠慮なく質問する


「こんなこと聞いたら先生に失礼かな」「忙しそうだから手短にしないと」――この遠慮が、実は病気の早期発見を遅らせることがあります。
かかりつけ医は「何でも相談できる医師」です。その「何でも」には、テレビの健康番組で聞いた情報のことも含まれます。質問のハードルを下げるために、こんなテンプレートを使ってみてはどうでしょうか。
「テレビで○○と聞いたのですが、私の場合も気をつけた方がいいですか?」
この聞き方なら自然ですし、医師も答えやすいはずです。「あなたの場合は心配いりませんよ」と言ってもらえるだけで、不安が晴れることもあるでしょう。逆に「少し気になるので検査しましょうか」と言ってもらえれば、それが早期発見のきっかけになるかもしれません。
遠慮は美徳ですが、自分の体に関しては遠慮しすぎないこと。これは医師側からも繰り返し言われていることです。
5.3 年に1回は健康診断の結果を持って「定期面談」する


かかりつけ医との理想的な付き合い方の仕上げは、年に1回の「定期面談」です。
特に症状がなくても、健康診断の結果を持って行く。それだけでOKです。「今年も特に問題はなさそうですね」と言われたら、それが最高の診断結果。逆に気になる数値があれば、その場で精密検査の段取りを組んでもらえます。
会社員時代の「年1回の定期健診→産業医のフォロー」という流れを、「年1回の特定健診→かかりつけ医の面談」に置き換えるイメージです。
毎年のデータが蓄積されていけば、5年後・10年後の体の変化を的確に捉えられるようになります。「去年と比べてどうか」ではなく「5年前と比べてどうか」が見えるようになる。これがかかりつけ医の真価であり、長く付き合うことの最大のメリットです。
6. よくある質問(FAQ)


- かかりつけ医は1人に絞らないといけないの?
-
いいえ、分野ごとに複数持つことも可能です。例えば内科のかかりつけ医と歯科のかかりつけ医を別々に持つ方は多いです。ただし、「メインの窓口」は1人に決めておくことをおすすめします。情報が集約されるため、薬の管理や紹介状の発行がスムーズになります。
- 今通っている大病院の先生をかかりつけ医にできる?
-
大病院は紹介状ベースの専門治療が主な役割です。日常的な健康管理や些細な不調の相談には、地域のクリニック(診療所)の方が適しています。大病院の先生に「近所で良いクリニックを紹介してもらえますか」と相談することもできますよ。
- かかりつけ医を変えたい時はどうする?
-
紹介状は不要です。新しいクリニックに直接予約を入れるだけでOK。その際、お薬手帳と健康診断の結果を持参すれば、新しい先生もスムーズにあなたの状態を把握できます。「先生を変える」ことに罪悪感を持つ必要はまったくありません。
- オンライン診療でかかりつけ医は持てる?
-
初診は対面が原則ですが、2回目以降はオンライン診療に対応しているクリニックも増えています。ただし、60代以上の方には最初の信頼関係づくりは対面を推奨します。表情や声のトーン、触診や聴診など、対面でしか得られない情報は多いですから。
- 退職後の特定健診はどこで受けられる?
-
国民健康保険に加入している方は、お住まいの市区町村から受診券が届きます。届かない場合は、自治体の国保窓口に問い合わせれば発行してもらえます。受診できる医療機関のリストも同封されていることが多いので、それを活用してかかりつけ医候補を探すのも一つの方法です。
7. まとめ:「かかりつけ医」は60代の最強の保険


ここまで読んでくださった方に、最後に一番大切なことをお伝えします。
退職とは、「健康管理を自分の手に取り戻すタイミング」です。
年金の手続き、健康保険の切り替え、住民税の申告。退職後のToDoリストは長い。でも、そのリストの一番上に書くべきは、実は「かかりつけ医を見つける」ではないでしょうか。
なぜなら、かかりつけ医は「病気になってから行く場所」ではなく、「病気にならないために通う場所」だから。会社の健康診断と産業医に代わって、あなたの体を長期的に見守ってくれるパートナーです。
- 病気の早期発見・早期治療で、取り返しのつかない事態を防げる
- 紹介状ひとつで専門医にスムーズにつながれる
- 薬の飲み合わせを一元管理してもらえる
- 認知症の初期サインに気づいてもらえる
- 介護が必要になった時も、連携がスムーズ
- 家族に「安心」というプレゼントを渡せる
僕がAI副業やブログ運営、投資を楽しめているのも、土台に「健康」があるからです。パソコンの前で新しいことに挑戦する毎日は、本当に充実しています。でもそれは、体が動いてくれるからこそ成り立つ話。
健康であってこそ、セカンドライフは輝きます。新しい趣味も、資産運用も、孫との時間も、すべての基盤は「元気な体」にある。その体を守るための最初の一手が、近所のクリニックのドアを開けることなのです。
制度は知っている人だけの味方です。でも、この記事を読んでくださったあなたは、もう「知っている人」の仲間入り。あとは行動するだけですよ。



健康は、最もリターンの高い”投資”です。まずは近所のクリニックのドアを開けてみませんか。老後は余生じゃない。OSの大型アップデートですから――その新しいOSを安定稼働させるために、かかりつけ医という最強のサポートを味方につけましょう。


